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婿養子を相続人にするメリットとデメリットを徹底解説

「相続税をすこしでも減らしたい」
このような方におすすめの負担軽減方法が養子縁組です。

婿養子を養子縁組することによって相続の基礎控除額や保険の非課税枠が増え、負担軽減効果が期待できるからです。
婿養子の相続にはさまざまなメリットやデメリットなどがあります。
この記事では、そんな婿養子の相続に関する基本的な情報やメリット・デメリット、具体的な養子縁組の条件・流れについて解説します。

婿養子の相続について

はじめに、婿養子の相続を考えるうえで知っておくべき3つの基本的な情報を紹介します。

  • 婿養子と婿の違い
  • 婿養子の相続権
  • 婿養子の相続割合

続いて、それぞれを具体的に説明します。

婿養子と婿の違い

まず、婿養子と婿の違いについて把握しておかなければなりません。
違いを把握しておかないと、法定相続人として認められない可能性があるからです。
婿養子と婿は似ているようで異なります。

詳しくは以下の比較表を参考にしてください。

婿婿養子
相続権なしあり
養子縁組必要なし必要あり

大きな違いは「養子縁組をしているかどうか」です。
つまり、養子縁組をせずに婿を取ったとしても相続権はありません。

「相続人を増やして負担軽減に役立てたい」
「跡取りになってもらいたい」

このように考える場合、かならず養子縁組するべきです。

婿養子の相続権

婿養子は実親・養親両方の相続権があります。
勘違いされる方もいますが、婿養子になっても実親の相続権は消えません。

このように、婿養子は実親・養親両方の相続権を持ちます。

婿養子の相続割合

婿養子の相続割合は実子と変わりません。
たとえば以下の関係図で婿養子の実父が亡くなった場合、相続分は1/4です。

次に、以下の関係図で養父が亡くなった場合、婿養子にも1/6分の相続権があります。
婿養子だからといって相続割合が減ったり、相続税が加算されたりすることはありません。

婿養子の相続に関するメリット

婿養子を迎えるのは、相続においてさまざまなメリットが期待できます。
特に大きなメリットは以下の4点です。

  • 基礎控除額が増える
  • 相続税の負担軽減が期待できる
  • 保険金の控除額が増える
  • 法定相続人以外に財産を残せる

それぞれを具体的に解説します。

基礎控除額が増える

まず、婿養子は法定相続人として認められるため、相続の基礎控除額が600万円増えます。
基礎控除額は法定相続人が多くなればなるほど増えるからです。

詳しい基礎控除額の計算式は以下のとおりです。

基礎控除額=3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、相続の課税価格が5,000万円だったとしましょう。
法定相続人が3人だった場合、基礎控除額は4,800万円なので、課税遺産総額は200万円です。
つまり、200万円分の相続税が発生します。
一方で婿養子を迎えて法定相続人を増やした場合、基礎控除額は5,400万円となり、相続税は発生しません。

相続税の負担軽減が期待できる

万が一、相続税がかかってしまう場合でも、婿養子を迎えていれば負担軽減が期待できます。
2つのケースに分けて解説します。

婿養子がいない場合

たとえば、9,000万円の財産があったとしましょう。
実子が2人だけだった場合、基礎控除額は4,800万円なので、課税遺産総額は4,200万円です。

課税遺産総額をそれぞれの相続割合で割ると、取得額は以下のとおりです。

  • 妻:2,100万円
  • 子:1,050万円

相続税は取得額によって変わるのですが、2021年12月現在、1,000万円超3,000万円以下は15%と定められています。
つまり、妻と子それぞれに15%ずつ相続税が発生してしまうのです。

婿養子がいる場合

婿養子を迎えて法定相続人を増やすと基礎控除額が増えるため、課税遺産総額が減ります。

この場合、取得額は以下のとおりです。

  • 妻:2,100万円
  • 子:600万円

相続税は1,000以下だと10%です。
前者は合計で480万円の相続税がかかりますが、後者は400万円に抑えられます。
このように、婿養子を迎え入れると相続税の負担軽減が期待できるのです。

保険金の控除額が増える

保険金も法定相続人の数に応じて非課税枠があります。非課税枠の計算式は以下のとおりです。

500万円 × 法定相続人の数

相続税を減らせられる可能性があるだけじゃなく、保険の非課税枠も増やせるのです。

法定相続人以外に財産を残せる

実子や配偶者以外に財産を残したい場合、遺言を書いて遺贈する、などといった方法を取らなければなりません。
遺贈の場合、税金が2割加算されるなどのデメリットがあります。

しかし、養子縁組すると婿養子が法定相続人になるため、遺贈する必要がありません。
2割加算の心配をすることなく、実子や配偶者以外に遺産を渡せるのです。

婿養子の相続に関するデメリット

養子縁組して婿養子を相続人にするのは、メリットばかりではありません。
大きくわけて3つのデメリットがあります。

  • 相続トラブルが起こりやすい
  • 負の財産も引き継ぐ
  • 解消するには手続きが必要

ここで紹介するデメリットをかならず把握しておきましょう。

相続トラブルが起こりやすい

婿養子を法定相続人に加えると、相続トラブルが起こりやすくなります。
実子の相続分が少なくなるからです。
たとえば右の関係図で実子が2人だった場合、それぞれの取得額は1/4です。
しかし、婿養子を法定相続人に加えた場合、実子の取得額は1/6に減ってしまいます。

実子が「血のつながっていないきょうだいに同じだけ相続されるのは納得できない」と感じ、トラブルに発展するケースもあります。
最悪の場合、きょうだいの関係にヒビが入ってしまいかねません。

負の財産も引き継ぐ

借金などいわゆる「負の財産」も、婿養子に相続させてしまう恐れがあります。
民法896条で「相続人は被相続人が遺した義務も受け継ぐ」と定められているからです。

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

出典:e-GOV

ここでいう義務には「支払い義務」「返済義務」なども含まれます。

つまり、不用意に婿養子を法定相続人として迎えてしまうと、血のつながっていない息子に債務を負わせる危険性があるわけです。

解消するには手続きが必要

養子縁組すると、婿養子が妻と離婚・死別しても関係は解消されないので気をつけてください。
解消するには「養子離縁届」に必要事項を記入し、地方自治体に提出しなければなりません。

養子縁組を解消すると婿養子は法定相続人としての権利を失うので、相続税対策を考える場合は別の方法を検討する必要があります。

婿養子を相続人にするには

ここからは婿養子を相続人にするための具体的な方法を紹介します。
説明するのは以下の2点です。

  • 婿養子を相続人にするための条件
  • 婿養子を相続人にするための流れ

条件と流れをそれぞれ説明します。

婿養子を相続人にするための条件

養子縁組の基本的な条件は以下のとおりです。

  • 養親の年齢が成人を超えている(民法第792条)
  • 養子が養親の年を超えていない(民法第793条)
  • 叔父や叔母などの尊属でない(民法第793条)

婿養子が未成年の場合などは、さらに条件が加わります。

婿養子を相続人にするための流れ

成年の婿養子を養子縁組する場合、戸籍を地方自治体などに届出するだけです。
必要な書類は以下のとおりです。

  • 養子縁組届
  • 届出人の本人確認書類
  • 養親と養子の戸籍謄本
  • 養子縁組に関する配偶者の同意書

婿養子が未成年の場合、届出する前に家庭裁判所で養子縁組許可の申立てを済まさなければなりません。
養子縁組許可の申立ては難しくなく、養子縁組許可申立書に記入し、必要書類を揃えて家庭裁判所に提出するだけです。

婿養子の相続に関する質問

婿養子の相続に関するよくある質問をまとめました。
ここで回答する質問は以下の3つです。

  • 養子縁組は解消できる?
  • 婿養子に相続させたくないときは?
  • 何人まで養子縁組できる?

養子縁組する前に、これらの3点を把握しておくのが大事です。

養子縁組は解消できる?

養子縁組は簡単に解消できます。
解消する方法は以下の4つです。

  • 協議離縁
  • 調停離縁
  • 判決離縁
  • 死後離縁

まず協議離縁で話し合いをし、まとまらない場合は調停離縁に移ります。
調停離縁で調停不成立となった場合、裁判で判決離縁することになります。
養子・養親いずれかが死亡した場合、家庭裁判所に許可審判を申立てて解消することも可能です。

婿養子に相続させたくないときは?

2つの方法があります。

  • 養子縁組の解消
  • 遺言

うえでも説明したとおり、養子縁組を解消すると法定相続人でなくなるため、相続権は発生しません。
養子縁組を解消したくない、解消できない場合は、ある程度なら遺言で相続させないようにすることもできます。
ただし、すべての財産を相続させないようにできるわけではありません。
相続には「遺留分」と呼ばれる最低限度の取得割合が法律で保証されているからです。
遺留分の計算式は以下のとおりです。
法定相続分 × 1/2
たとえば相続割合が1/6だった場合、遺留分は1/12になります。

何人まで養子縁組できる?

何人でも養子縁組できます。しかし、法定相続人の数は次のように決まっているので気をつけてください。

  • 実子がいる場合:1人
  • 実子がいない場合:2人

つまり100人と養子縁組しても、実子がいる場合は1人までしか法定相続人として認められません。
100人に相続の権利はありますが、基礎控除額や保険の非課税枠で認められる法定相続人の数は1人ないし2人と決まっているわけです。

まとめ

婿養子の相続についてまとめます。

  • 相続税の負担を軽減する場合、かならず養子縁組する
  • 養子縁組することによって基礎控除額や保険の非課税枠が増える
  • 結果として相続税の負担軽減が期待できる
  • 一方で、養子と実子の間で相続トラブルが起きやすくなる
  • 養子縁組の方法は、基本的に養子縁組届を届け出るだけ

婿養子に相続させることを検討する際は、今回紹介したメリットとデメリットをかならず覚えておきましょう。

詳しく知りたい場合は、ファイナンシャルプランナーや税理士に相談するのがおすすめです。

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